広報インターンによる大会レポート

【熱気に包まれた会場】
 燦々と地面を照らす太陽——。それと同じくらい熱い戦いが横浜国際プールで繰り広げられた。
 6月12日、第19回日本知的障害者選手権水泳競技大会が行われた。今大会は7月に開催される「2016ジャンパラ水泳競技大会」の推薦選手選考も兼ねていた。まIMG_0098_た、9月にブラジルで開催されるリオ・デ・ジャネイロパラリンピック日本代表推薦選手7名が出場するということで注目も集めており、その期待を上回るほどの好成績が多く叩き出され、会場が歓喜で満ち溢れた。なんと日本新記録10、大会新記録22、大会タイ記録1という素晴らしい成績が出された。観客席には各スイミングクラブの横断幕が掲げられ、声援が飛び交うなど、会場は熱気に包まれていた。

【強豪揃いのレース】
 どのレースも、プールの間近で見ていると時折水しぶきが飛んでくるほどの迫力があった。レース後に新記録樹立のアナウンスが入ると、会場全体が拍手に包まれ、一体感があった。
 中でも特に盛り上がりをみせたのはパラリンピック代表候補選手を含め、強豪選手が肩を並べたレースだ。まずは、男子200m個人メドレー。津川拓也、中島啓智、田中康大らパラリンピック代表候補3名に加え、この競技の日本記録保持者である東海林大が出場した。レース序盤には田中が一歩リードしたが、徐々に東海林が追い上げ、自らの持つ日本記録を更新して優勝した。リオ・デ・ジャネイロパラリンピックの出場は逃している選手だが、今大会で存在感を発揮した。
 続いて男子200m自由形には中島啓智、宮崎哲、坂倉航季らパラリンピック代表候補3名に加え、この種目日本記録保持者である東海林が出場し、ハイレベルな接戦が繰り広げられた。1位でフィニッシュした中島は2分1秒25で大会新記録、2位の宮崎の記録は 2分1秒46で、これもまた大会新となった。レース後、中島は報道陣のインタビューに答え、「101m以上は長距離に感じてしまうので、もっと体力をつける努力をしたい」と答えていたIMG_2242。毎日、練習で6000m泳いでいるという中島、その絶え間ない努力が実って今回の優勝へと繋がったのであろう。リオでの活躍も期待できそうだ。
 そして男子100m平泳ぎでは田中、廣田真一、林田泰河ら3名のパラリンピック代表候補が出場。ロンドンパラリンピックで世界新記録を出して金メダルを獲得した田中が好調をアピールし、優勝を果たした。田中はレース後、「リオに向けて頑張ります」と力強く、何度も語っていたのが印象的だった。

【リオ・デ・ジャネイロパラリンピック壮行会】
 午前競技終了後に行われた壮行会では水泳からは男子12名、女子7名、計19名の選手が日本代表に内定していることがリオ・デ・ジャネイロパラリンピック日本水泳選手団コーチの谷口裕美子氏より発表され、19名のうち、今大会に出場した7選手が紹介された。選手代表として挨拶を行った宮崎哲は「夢に向かって羽ばたきたいと思います。応援よろしくお願いします。」と力強く挨拶した。
 7名ともJAPANのジャージを着こなし、たくましい姿を見せてくれた。これからの成長がますます楽しみだ。パラリンピック本番での活躍に是非注目してほしい。

【東京パラリンピックに向けて】
 今大会が開催された横浜国際プールでは、知的水泳の強化合宿が行われるなど、障害者水泳の大会等が数多く行われている。また、7月17日・18日には、国内最高峰のジャパンパラ水泳競技大会が行われる。リオ・デ・ジャネイロパラリンピックに出場する選手、また2020年の東京パラリンピック出場を目指す選手を含め、今大会に出場した全ての選手がこの横浜国際プールでの経験を糧に、夢に向かって突き進んでいって欲しいと願う。そして、まだまだ知名度の低い知的障害者水泳ではあるが、水の中で繰り広げられる熱い戦いを見に、ぜひ一度大会の会場にも足を運んでもらいたい。 

【文・写真:慶應スポーツ新聞会(広報インターン) 伊藤史織、前田さつき】

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